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次回英文(第5回)
and, burning with curiosity, she ran across the field after it, and was just in time to see it pop down a large rabbit-hole under the hedge.
メモ① she had never before seen ~
had -ed形は、「過去のある時点より前の領域の出来事・事態が、その時点と何らかのつながりがある」ことを表します。本文の該当箇所は “had never before seen” になります。ここでは、アリスが「チョッキを着て、時計を持っているシロウサギ」を見た時点(=過去)より前に、そのような変わったウサギを「1度も見たこと[経験]がなかった(never)」ということ、つまり「初めて見た」ということが示されています。
メモ② a watch to take out of it
名詞の後にto do-原形を置いて説明を加える型について補足しておきます。次の3つの表現を見てください。
[名詞←説明] 名詞(A)←to do-原形
1. someone to help us (私たちを手伝ってくれる人)
2. something to eat (何か食べるもの)
3. time to get up (起きる時間)
それぞれ、「名詞(A)」と「to do-原形~のカタマリ」の関係性を考えてみましょう。1では、名詞(A)がto do-原形の「主語」にあたります。つまり、「someone(ある人)+が+手伝う」という関係が成り立っています。2では、to do-原形~のカタマリの中に「名詞の〈穴〉」が開いていて、そこを名詞(A)で埋めると意味が通るようになっています(参考:第1回ブログ メモ②)。ここでは、to eatの後に〈穴〉があり、そこにsomethingを入れると“eat something”という意味が通る表現ができます。2では、「something(あるもの)+を+食べる」という関係が成り立っているわけです。3は、1・2どちらにも当てはまらないパターンです。
[名詞←説明] 名詞(A)とto do-原形の関係
1. Aが主語 → someone to help us [someone が help(する)]
2. Aが〈穴〉を埋める → something to eat〈穴〉 [something を eat(する)]
3. その他 → time to get up (起きる時間)
注意したいのは、2の「名詞の〈穴〉」がある型です。この型を頭に入れた上で、『アリス』本文で用いられている表現について考えてみましょう。
本文:a watch to take out of it ← 構造と意味は?
ここで、“take out of it” を「ひとつながり」として見ると読み間違えます。takeの後に「名詞の〈穴〉」があることに気づくことができたでしょうか? この表現は、a watch to take〈穴〉out of it という構造になっています。take A out of B で「BからAを取り出す」という意味なので、take a watch out of itは「そこ(ポケット)から時計を取り出す」となります。
本文: a watch to take〈穴〉out of it ← take a watch out of it (そこから時計を取り出す)
よってこの箇所は「そこ(チョッキのポケット)から取り出す時計」という意味になります。